リンク:ちょっと説明 (→Homeに戻る)

研究のコアをまわりくどく噛み砕いた説明

私は一言で言うと、「自然の動き(時間変化)」に興味があり、研究しています。 ここでの自然には、分子・生物・生態系・地球環境を含んでいます。以下にちょっと説明します。

自然は常に「動いて」ます。
私達の明日の状態がどうなるかは、今日の状態がどうであるかによるし、 なぜ今日がこうであるかは、これまでの過去の履歴全てによります。 こうやって生物などの「自然」は「時間に伴って変化」しています。

何が動いてるかというと、「多くの物」が動いています。
例えばまた自分自身について考えてみます。 私達は昨日とあんまり変わってないと思います。 でも、私達を構成する分子の数や配置などは、昨日とは確実に違います。 どんなに似てても、全てを昨日と全く同じには戻せません。 1秒後ですら違います。 このように私達は、今日が昨日と偶然重なることはは絶対に無い、 と言ってもよいぐらい、多くの物が動いてできています。 つまり私達は、絶えず動く多くのものでできた塊であり、やはり絶えず動いています。 そしてこのびみょ?、な違いが、未来の大きな違いへとつながることもあります。

こういった「多くの物」は関わりあいながら動いています。
上の例は自分自身だけではありません。 窓の外も、昨日と似た景色かもしれませんが、 やっぱり今日の雲の中の水分子の配置や、 今日の木々の中にある細胞内の分子の数や配置は、昨日とは確実に違います。 そして、雲の様子で私達の気分や木々の光合成っぷりは変わるでしょう。 大なり小なり色んな風に、自然のみんなが関わりあって動いています。 私達という塊の中にも多くの物が関わりあって動いているし、 私達、塊自身も、生態系という塊の中では多くの物の一つであり、 やはり関わりあって動いています。 このように自然は、多くの物がある程度の塊を作って、関わりあいながら動き続けています。

実はこういった自然の動きの研究は足りていません。
単純なもの(例えばある一つの理想気体の運動)はよく理解されています。 また、多くの物で構成されていてもその関わり合いが単純だとよく理解できますし、 そういったものを作ることは簡単にできるようになっています。 しかし多くの物が関わりあって動くと、すぐに予測不能に陥ります。 電子機器などがこんなに発展した現在でも、 最も単純な生物と言われる細菌の挙動を予想できなかったり、 生態系の変化を予想できなかったりと、意外に簡単そうなことができないのは、 自然の動きが実はまだよくわかってないからです。

なぜよくわからないのでしょうか?
「多くの物で構成されていてもその関わり合いが単純だとよく理解できる」 のですが、この場合の「関わり合いが単純」とはどういう意味でしょうか? ここでは、例えば多くのパーツで構成されているシステムがあったとして、 その多くのパーツの個々の機能を足していけば 全体のシステムの機能になるような場合、 多くのパーツ同士の関わり合いは単純であると言わせてもらっています。 このようなシステムは、どれだけ大きなシステムでも、 パーツに分解して理解できますし、 また逆にパーツをどんどんと足していけば大きいシステムをつくることができます。 逆にそうで無い場合とは、例えば「あるパーツAは、別のパーツBがあるときだけ きちんと機能があり、Bが無い時には働かない」のような場合です。 これだと、パーツAだけ調べても何もわかりません。 まあAとBを同時に調べればわかるので良いですが、それが、AとBとCとDと・・・・ みたいに1000種類とかになってくると、気が遠くなります。 これが、よくわからない自然のシステムの重要な特徴の一つであり、 要するに、「各パーツの足し算≠システム全体」なシステムです。

最初に書いたように、よくわからないシステムは身近なものが多いです。
「身近なものほどよくわからない」、とはよく言ったものですよね。 身近なものほど、細かいところまで見えるからかもしれません。 上に書いたように、これまでの科学技術の大部分は、 たとえ複雑なシステムであっても、 ほとんどが単純な関係(一つが決まれば別の一つが決まる)によって作られたり、 理解されたりしてきました。 このような単純な関係への近似は、原子などのミクロの世界や、 宇宙などの大きな世界を理解するためには非常に効果的であり、 またシステムを作る際には単純なパーツを積み重ねて複雑なものを組み立てられるため容易でした。 しかし、私たちと同じスケールである自然や生物(人間を含む)を理解したり、 これに調和するシステムを作るためにはそれだけでは足りません。 よって、「多くのもので全体として決まるもの」かつ、 「常に変化し続けており、二度と同じ状態に戻ることのないもの」を理解し、 利用できたり作れたりするようになる新しい科学が必要です。 もちろん全く新しいわけではなく、昔から複雑系と呼ばれたりして、 現在すでに、巨大なデータの変化を解析したり、 生物をまるごと数理モデル化して理解しようとしたりなど、研究が進んでいます。

まさに、さらなる革命的研究が必要な、わくわくな分野です。
今、科学者、技術者の人は、未開拓なものが山積みでラッキーですよね!